修行エッセイ

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2004年5月11日(火) 夢でイメトレ

 夢を見た。
 空手の夢だった。
 組手で、面白いくらい足があがり、上段回し蹴りを自由自在に操っていた。
 最近、仕事に追われ、空手の稽古に行くことがなかなかできずにいる。でも、空手への熱が冷めたわけでもなく、行きたいという気持ちは強い。
 なにかちょっと時間があれば、組手をイメージするのもそうだし、壁などについつい拳をぶつけたくなる。
 稽古に行けないながらもそんな風に空手をイメージしている。
 イメージだけでは畳水練になってしまうけれど、実体験をしながらのイメージトレーニングが効果的であることは、体験者なら誰でも知っているだろう。
 イメージがあれば、実際にやってみて、実際とイメージとのギャップを知ることができる。ギャップを理解したら、そのギャップを埋めようとすることで、修正をかけられる。これがトレーニングになる。
 しばらく行ってない稽古に、明日はどうしても参加しなくてはならない。
 見学に行くから、いろいろお話がしたいとおっしゃる方と、メールで約束したからだ。
 無理にでも仕事を切り上げて、明日は稽古に行こう。
 さて、実践からしばらく遠ざかり、イメージトレーニングがメインになった場合の効果がどのようなものか、ちょっと試してみたい。

2004年5月12日(水) 久しいダメージは酸欠になる?

 2ヶ月ぶりくらいに稽古に行った。そして、やめておけばいいのに、付けていないのと同じくらいの薄い防具を付けてのフルコンタクトを行った。
 久しぶりに打ち合う感触を得たかったので、あえて下がることなく、踏ん張ったままで打ち合う事にした。
 もちろん相手は自分のタイミングで間合いにはいると打ち込んでさっと下がるので、僕が防御してから攻撃に移る頃には相手は射程距離にないので、なかなか打ち込むことができない。相手からするとこちらが動かないので、打ちやすかったはずだ。
 やりたかったのは、打ち込まれる感覚を楽しむことと、そうしながらも相手の動きを見て隙を攻撃する事だった。
 基本的には受けに回ったので体力は十分残しているはずだったのだが、2人目とやっているときに攻撃に移ろうとしたら、体が異常に重く、ふらつくのと感じた。これは、戦ってへとへとになったときの感覚と同じだった。
 なぜか。
 たった二ヶ月さぼっただけで、こんなに体力が落ちるのか。
 そのあとの正拳突きのラッシュにも、全くついていけなかった。
 これについてはしばらく考えて、僕なりの答えを出してみた。
 
 最初の一人目はH初段で、彼の綺麗な突きが数発当たって、かなりのダメージを受けた。このときはいいのを貰っちゃったなぁーくらいに思っていたのだが、その後も痛みが残った。
 二人目とやっているときも、H初段との組手のダメージが残っている事を感じ、痛いな〜と思いながらやっていた。そして、そこにパンチを貰うと、体の奥まで響いた。
 痛みがだんだん強くなってきて、組手をやりながら、「これはちょっとまずかったかな」と思うくらいのダメージだった。
 僕はこのとき、ダメージを感じた体が、アドレナリンを噴出したのではないかと思う。しかも、このところ稽古にあまり参加していないし、フルコンタクトでの打ち合いはかなり久しぶりだったので、体が必要以上に反応して、必要以上のアドレナリンを出したのではないか。
 空手を始めた頃、体中に青あざができたけれど、3ヶ月もやると全くできなくなったのを思い出す。あれは体が「このくらいのダメージはこの人には普通なんだ」と判断し、特別なことではないと判断するからだろう。たった3ヶ月でそうなるということは、3ヶ月その衝撃を受けなければ、受けないことが当たり前なんだと、通常レベルを下げてしまう事もあり得る。
 今日は、久しぶりのダメージに体が驚き、アドレナリンを多量に出してしまったと考えると説明が付く。
 アドレナリンが噴出されると、多量の酸素が血液によって体中に供給される。こうなると、体は防御態勢に入り、短い時間だけ力を発揮することができる。いわゆる火事場のバカ力がこの瞬間だ。
 ところが、この状態は数分間も持続することはできない。酸素が体中に運ばれると、すぐに酸欠状態になり、息が上がってしまい、ぜいぜい状態になる。
 僕はしばらく防御中心にしていたが、このときに酸素を使い果たしてしまったのだろう。いざ攻撃に行こうとしたときは、酸欠状態だった。
 その証拠に稽古が終わったあと、まるで5キロマラソンでもしたあとのような苦しさを感じ、気分が悪かった。まるで10人組手のあとのようだった。

 僕の仮説が正しければ、「コンスタントに稽古でダメージを受けていないと、体が緊急状態を感じ、アドレナリンを一気に出してしまうために酸欠になり、攻撃力が低下する」ということになる。
 ということは、いざというとき。すなわち実際に暴漢との格闘になることを想定した護身術としては、「組手になれて、落ち着くことでアドレナリンをコントロールできる」だけでなく、「ダメージになれて、アドレナリンを抑える」ということも必要なのではないだろうか。
 しばらくの間、ダメージを受け続けることを実践して試してみよう。そして、それが正しいと体で感じることができれば、「10人組手などに挑戦するなら、ダメージに慣れること」とか、「ダメージを受けると、機能的な問題ではなく、酸欠で攻撃力低下につながるので、攻撃のためにダメージを避けろ」なんていう事が言える。
 本当かなぁ〜?
 でも、本当にそうではないかという実感が今はある。
 しかしこのダメージ、果たして来週は組手ができるだろうか・・・・・・。

 

 
 

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